707823 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

こんにちわ♪

こんにちわ♪

比律賓の家畜

ヘルニーニョ

usi


以前、動物写真のトップで紹介していたこのウシ。
せっかくだから独立させてご紹介。
名をヘルニーニョといいます。

彼もフィリピン時代に知り合った、動物だ。

じいちゃんの所は、酪農業なので、乳牛を中心として飼っているんだけど。
ヘルニーニョは、ブラーマンと呼ばれる熱帯地方が原産の肉用品種だ。
でも彼は食べられる事はない。
乳牛ではないにもかかわらず、けっこう特別扱いされていた。


なぜならば。
ヘルニーニョは働くウシだったからだ。
牛車を引いて、荷物を運ぶ。

もちろんじいちゃんは、トラックを持っていたけれど。
ちょっと近所に農作物や、牛乳を運んだりするのは、もっぱらヘルニーニョのお仕事だった。
ウシってあんまり利口ではないんだけれど、ヘルニーニョはかなり頭がよい。
彼を操縦するのに、免許はいらない。
彼を操縦するのに、ガソリンもいらない。
おなかがすけば、勝手に草を食べてくれている。
ブレーキとかもかけなくても、ハンドルを切らなくても、自分でちゃんと道を歩んでくれる。
う~ん、それは最も進化したオートマ車なのかもしれない。

俺がミンダナオを去る日の朝。
他の動物たちは、いつもの日常を過ごしている中。
ヘルニーニョは、なぜか俺の前で。
ダンスを踊ってくれたんだ。
たぶん、お別れのダンスだったんだろう。
『また来いよっ』
てな感じで、俺がじいちゃんのトラックに乗って町まで送られる中。
振り返ると、ヘルニーニョが、ずっと踊っていた。







バボイ

バボイとは、フィリピン語で『ブタ』の事。
フィリピン人はブタさん大好き!
もう全てのパーティーにおいて、『レチョンバボイ』と呼ばれるブタの丸焼きが必ずといっていいほど、お目見えする。
そう、パーティーの主役はバボイなんだ。

それで、どの家でも、余裕ができたら飼いたい動物。
それはバボイ。決してイヌとかのペットではなく、ブタさんなんだ。


フィリピン滞在時、じいちゃんのところに居候していたんだけれども。
じいちゃんも例外なくブタを飼っていた。

毎年、1~3月ごろに出産して。
ちょうどクリスマスに近づく頃には、丸焼きにするのに最適の大きさに育って売れるんだ。


こういう書き方をしていると。
『お前の頭の中は全て食い物なのかっ』
と動物保護団体の方々から抗議が来そうだが。

いやいやっ、みんなブタ肉食べるでしょ?
イスラム教徒の方とベジタリアンの方には申し訳ないけれど。
そのほかの方々は、ブタさん大好きなはずだ。
チャーシューだってブタだぞ。ハムだってブタさんだ。
どこか、東京の表参道あたりで、きどって朝食にサンドイッチを食べたりなんかしている方なんか、もう朝からブタ三昧だぜ。
日本じゃ、BSE騒ぎで牛丼が食べれなくなったけど、それの代わりとしてブタ丼がデビューしたじゃないか。けっこうな事だと俺は思うんだけどな。

ブタさんなしに、われわれの食生活は語れないんだ。


さて、じいちゃんは大ブタを2匹飼っていて。
子供が毎年、初頭に生まれる。
大体一回に平均8~12頭くらいは生まれる。

彼らは、その人生の全ての生きるためのエネルギーを。
食欲に注いでいるんだ。

その彼らの食に対するモチベーションには、頭が下がる。

よく、食いしん坊や強欲な人をののしるネガティブな言い回しで『このブタ野郎っ』とか言うけれど。

そりゃあ、ブタさんに失礼ってもんだぜ、おい。

彼らを見ていると。
『生きると言う事は、食うと言う事なんだぜっ。』と。
彼らの生き様すべてを見せて教えてくれる。


ばぼい

写真は、ママのおっぱいに群がる仔豚ちゃん。
ブタって、実はとっても臆病な動物で。
仔豚なんか可愛いから抱っこしようもんならば。
『ぷぎぃぃぃぃ!!!!』
てな、もうこの世の終わりだあぁぁぁ、みたいな声を出して泣き叫ぶ。

でも、そんな仔豚でも食欲には勝てない。
ごはんの時なんか。
もう、我先にと。
君たちさっきの断末魔はどこに行ったの?
と問い返したくなるくらい、みんなとっても積極的だ。

もう待ちきれないやつなんか。
じいちゃんや俺のながぐつの端っこを、はみはみしちゃう。

それで怒られても。
決してめげない、食事の時は。

そう、彼らの食に対する情熱は。
天晴れなものなんだ。
何かものすごい信念を持っているかのごとく。

彼ら一匹一匹には。
特別な固有名詞は付けられる事はなかったけど。
ひょっとしたら、フィリピン滞在中に。
最も印象に残り、そして俺にいろいろと教えてくれた動物は、彼らかもしれない。


ぶひっ。









バレンティーナ


2002年2月14日

ちょうど日本じゃバレンタインデーで、女の子がチョコを男子に配ると言う奇妙なイベントが行われていたその時。




ミンダナオの山奥で、彼女は産声を上げた。




フィリピン、ミンダナオ産の限りなく乳牛100%の血を受け継ぐ、その子牛は。


バレンタインデーに産声を上げた事から、『ヴァレンティーナ』と名づけられた。


ヴァレンティーナは、人工授精によって生まれた子供。


いわば、俺の娘のようなものだ。





ヴァレンティーナは、すくすくと成長し。


しかもミルクをものすごく飲んだ。



おかげでヴァレンティーナが赤ちゃんの時は、ミルクの売り上げが激減して。



ちょっとじいちゃんの家計に響いたくらいだ。




ヴァレンティーナの他にも、人工授精によってメスの子牛は生まれた。



アンジェリーナと名づけられる。


ちょうど、その子牛が産まれた時に、ラジオで。


『アンジェリーナ♪、アンジェリーナ♪』


と言う歌が歌われていたからだ。



なんて単純な付け方。




そんな彼女らも今ではすっかり成長して。



もう子持ちのママなんだ。


ヴァレンティーナ



写真は、幼少時代の、右からヴァレンティーナ、アンジェリーナ、ノリオ。


みんな同じくらいの年頃なのに、ヴァレンティーナは体が大きいでしょ。


今じゃ、立派なママになってます。



う~ん、まだ俺は結婚もしていないのに。



なんか孫までいるような気がして、なんとも妙な気持ちです。








ゾブラ


題名から。
『ゾブラって何?』
と言う声が聞こえてくると思います。

さて、なんでしょう?

動物写真一覧のところにいるから、動物の事なんだよね。


フィリピン在住中、僕がお世話になっていたじいちゃんは、本当にいろんな動物をしかもたくさん飼っていた。

そのほとんどは、じいちゃんが農家として、そしてその動物たちで生計を立てていたのだ。

じいちゃんは酪農家だ。
乳牛を飼って、牛乳を売る。それが純粋な第一次産業だ。

でも牛乳だけじゃ、あんまり儲けにならない。

だから他に肉牛も飼っていた。
まあ放し飼いにしておけば、好きな時に売れるしね。楽なもんだ。

他に豚も飼っていた。
これはクリスマスシーズンになるととってもよく売れる。

そしてウサギ。
これは食用じゃないけど、ペットショップに売れるんだ。
けっこうよい小遣い稼ぎ。

ニワトリ。
これは売るためというよりは自家用だね。鶏肉食いたくなったら、捕まえて食っちゃう。

そしてヤギ。
ヤギは、もちろんいろんなパーティーでも食される。
そして飼育はいたって簡単。離しておけば良いんだから。
オスメスいれば勝手に増える。
とっても良い小遣い稼ぎだ。


そんな中で、お母さんに死なれてしまった、子ヤギがいた。
まだまだ乳飲み子だ。
とてもほっておいて、自分で草を食えるようなお年頃ではない。

じいちゃんは、そんな子ヤギを見かねて、育てる事にしたんだ。
幸い、酪農家なので、ミルクはふんだんにある。

街でじいちゃんは、哺乳ビンをわざわざ買ってきた。
フィリピンじゃあ、動物用の哺乳ビンなんていう気の利いたのは売っていない。
だから人間の赤ちゃん用のやつを代用していたんだけど、どうも口の造りが人間とは異なるから、いまいち飲み方が不器用だ。

という事で、じいちゃんは哺乳ビンの先っちょを飲み易い様に改造した。

じいちゃんは、怠け者が多いフィリピンじゃあ珍しく、いろんな事にマメで、そして大変な努力家だ。
だから俺もじいちゃんが気に入って、居候させてもらってたんだ。
最初のうちは、街で俺は暮らしてたんだけど。

あんまりフィリピン人の悪口を言いたかぁないけど、ほとんどのフィリピン人は残念ながら怠け者。
まあ本人たちも自覚してるみたいだからいいかも。

さて、話はそれちゃったけど。
そんな感じで、じいちゃんに育てられた子ヤギは、それはそれは大変人懐っこく、もうミルクの時間になるとすっ飛んできておねだりする。

他のヤギたちは、みんなヤギ小屋があり、夕方になると親子共々そこにはいって寝るんだけど、この子ヤギだけは、人間のお住まいに入るのを許可してもらってた。

そう、その子ヤギの名前はゾブラ。

え?可愛くない名前だって?

だってオスだもん。

人間の赤ちゃんだって、可愛いってだけで名前をつけたりしないでしょ?
ちゃんと将来を考えてつけてあげるもんだ。
そうじゃなきゃ、赤ちゃん見て『かわいー!!名前はぷぅちゃんにしましょ!』とか、『うわぁ、なんかぶたちゃんだねぇ、ぶうちゃんにしましょうか』なんて感じで決められちゃうぞ。


さてゾブラなんですが。
おっぱいをちゅぱちゅぱねだる可愛い子ヤギもちゃんと成長する。

しかも人間に育てられたから、なにやら態度がでかいんだ。

そう、ウシはウシらしく、ブタはブタらしく、ヒトはヒトらしく、そしてヤギはヤギらしく生きなければならない。

ゾブラはちょいと違った。

自分を人間だと信じ込んでいる。

じいちゃんのお気に入りの椅子に座っているんだ、いつも。

それが下の写真。


ぞぶら


それでもじいちゃんは、何も怒らなかった。


でも一年ぶりに行った時、ゾブラの姿は見えなかった。
あえて、『ゾブラはどうしたの?』とは俺も聞かなかった。

だって、食べ物だもん。









ノリオ

フィリピン滞在中。

フィリピンでの俺の任務は。
酪農牛を増やす事。人工授精で乳牛を増やす事。

フィリピンには牛乳用のウシがほとんどいないからだ。

フィリピンにも人工授精を名乗る方々はたくさんいるんだけど、なぜかあまり仕事をされない。仕事はされているかもしれないけど、乳牛を増やそうというモチベーションはとっても低い。


俺が滞在中に、できる限りたくさんのウシに種付けして残してきた。

いわばこいつら俺の子供みたいなもんだ。


フィリピンのプロジェクトに参加する事で、俺は結婚する機会を逃してしまったけれども。

もし結婚して。そして子供ができていたならば。

きっとこんな風に思うのかなあと思った。

結構なついて可愛い。


gkk

↑違う品種のウシに人工授精で産ませたホルスタインの子供。
手前がママ、子供は乳牛チック。
全然ママと似てないでしょ。

こうして残してきたいわば俺の子たちがかなり存在する。




そしてフィリピンから帰国し1年以上過ぎ。
果たして僕の子供たちは元気でやっているのかどうか・・・。


ちょうど滞在中に俺が種付けして生まれたホルスタインのオスの子牛に『ノリオ』と名づけられた子供がいた。

名前の由来はあまり突っ込まないでくだされ。
フィリピン人はなんか愛着のある人名なんかを結構動物に対して適当につける場合があるのです。

実はこのノリオ、オスと言う事で当時さっそく去勢されかかった。

ただ俺はフィリピンで将来的に人工授精を継続する事はおそらく不可能と判断、自然繁殖を有効な手段として考え、ノリオの去勢に断固反対した。

そういうわけでノリオはどうにかオスとしての機能を失わずに、将来有望な種牛として生き永らえる事ができた。

まさに愛しき我が息子。



さて、そのノリオなのですが。今どうしていたかと言うと・・。


のりお

なんと逞しく種オスへと成長していました!
上の写真の黒いウシがノリオです。
周りにいるウシはブラーマンと言う肉用品種。しかもすべてメス。

ノリオめっ。お前モテモテじゃないかっ。ハーレム状態だぞっ。


ノリオはちゃんと使命を果たしていた。ブラーマンのメス21頭すべて妊娠中。更に他ホルスタインのメス16頭の妊娠も確認。
更にその他近隣の農家からも種付けの依頼を受けているとの事。ノリオの種付け総数は計り知れない。

グッジョブ!ノリオ!

正直こんなに嬉しい事はなかった。


俺のフィリピンでの業務はとにかくフィリピンの酪農を発展させる事。
酪農発展のための仕事はいろいろある。俺の友人はできるだけ多くのフィリピン人に牛乳を知ってもらおうとがんばっていた。

俺の任務は、乳牛増殖。
畜産に関してモチベーションの低いフィリピン人に家畜を飼わせる事は正直至難の業だ。
更に人工授精も継続が難しい。ポテンシャルが高い国であるにもかかわらず、毎日が夏休みのようなお国だから、モチベーションが低くく、せっかくの技術力まで下げてしまっているんだ。
と言う事で人間を当てにせずに牛に勝手に増やさせる事を考えたんだ。

このオペレーションは牛の成長期間を有するので正直非常に時間がかかる。
その前にウシがフィリピン人に食べられてしまっては元も子もない。

俺の帰国後どうなってしまうのか。

それが最も心配の種だった。

しかし、フィリピンでの俺の活動は決して無駄なものにはならず。
そして少しづつだけど確実に進歩している。

ノリオの他にも種オスが育っており、そしてメスの乳牛も数多く育っている。
そして次のジェネレーションももうすぐ誕生するんだ。いわば俺の孫。

俺の帰国後乳牛の数が増えた為新しく酪農組合がひとつ増えた。

おそらく将来はフィリピンでも白黒のウシを結構お目にする事ができるようになるはずだ。

俺がフィリピンでしたことは、他の大きなプロジェクトと比べれば、とってもとっても小さな事かもしれない。

そしてそれは、ひょっとしたらただの自己満足なのかもしれない。
日本の獣医さんのほうがよっぽどいい仕事をしているに違いないんだ。


それでも、なんか達成感を得られたのは確かなんだ。


ノリオよ。
がんばれよっ。

俺もがんばるからよっ。



© Rakuten Group, Inc.